
WordPressにはWooCommerceやWelcartなど、基本無料で使えるショッピングカートプラグインがあります。「初期費用を抑えてネットショップを開きたい」と考えるフリーランスや小規模事業者にとって、魅力的に見える選択肢です。
しかし、WordPressサイトを複数管理している私の結論は明確です。WordPressでショッピングサイトを運営するのは危険すぎます。実際に私の管理サイトがハッキング被害に遭った経験も踏まえて、リスクと代替案を具体的に解説します。
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WordPressの無料ショッピングプラグインの実態
WooCommerceは世界で最も普及しているECプラグインで、基本機能は無料。Welcartは日本製で、日本の商習慣に合った設定がしやすいのが特徴です。どちらも「WordPressが動く環境があれば今日から無料でネットショップが開ける」手軽さが売りです。
ただ、ここに大きな落とし穴があります。「無料で作れる」ことと「安全に運用できる」ことは別問題なのです。

WordPressでショッピングサイトが危険な4つの理由
1. プラグインの脆弱性リスク
WordPressサイトではEC機能以外にも問い合わせフォーム、SEO対策、キャッシュ系など、多くのサイトで10〜30個以上のプラグインが使われています。そして実際の現場では、更新されず古いバージョンのまま放置されているプラグインが非常に多いのが実情です。
プラグインの脆弱性は頻繁に報告されており、1つでも穴があればそこが侵入経路になります。ショッピングサイトは機能が複雑になるため、どうしてもプラグイン数が増え、攻撃対象が広がります。
2. WordPress本体の脆弱性(実際に被害に遭いました)
2026年7月には、IPA(情報処理推進機構)からWordPress本体の深刻な脆弱性が発表されました。
- 外部の第三者が任意のコードを挿入・実行できる脆弱性
- WordPress 6.9以降が影響を受ける
- 参考:IPA セキュリティアラート(2026年7月22日)
私の管理しているサイトもこの脆弱性を突かれ、バックドアプラグインを仕込まれ、勝手に管理者アカウントを作成される被害に遭いました。しかも自動更新を有効にしていたサイトでもハッキング被害が報告されています。「更新さえしていれば安心」ではないのです。
コーポレートサイトなら個人情報は問い合わせ履歴程度ですが、ショッピングサイトは氏名・住所・電話番号・メールアドレス、場合によっては決済情報という個人情報の宝庫です。同じ脆弱性でも被害の重さがまったく違います。

3. メンテナンスコストが想像以上に高い
WordPress本体・プラグイン・テーマはそれぞれ頻繁にアップデートが入ります。アップデートのたびに表示崩れや動作確認が必要で、特にECプラグイン対応テーマをカスタマイズしている場合、更新のたびに修正が発生しがちです。
- アップデート作業と動作確認:月1〜2回は必要
- カスタマイズ済みテーマの修正対応:その都度発生
- 外注する場合の保守費用:月額1万〜5万円が相場
「無料だから安い」と思って始めても、運用コストを足すと有料サービスより高くつくケースは珍しくありません。
4. サーバー管理まで自分で背負うことになる
レンタルサーバー運用では、PHPのバージョン管理も自己責任です。PHPの各バージョンのセキュリティサポートは概ね2〜3年程度と長くありません。バージョンアップすればプラグインやテーマが非対応で動かなくなるリスクがあり、放置すれば脆弱性リスクが増えます。どちらを選んでもメンテナンスからは逃げられません。
ハッキングされた場合の被害額を数字で見る
最悪のケースを数字で把握しておきましょう。
- フォレンジック調査(侵入経路・被害範囲の特定):数百万円〜数千万円。原因調査なしに再開はできず、個人や小規模事業者が簡単に払える額ではありません
- クレジットカード情報が漏洩した場合:悪用されたカードの不正利用分は、漏洩元の店舗が賠償するケースが多く、被害額は甚大になりえます
- 加えて、サイト停止による機会損失、顧客対応、ブランドイメージの毀損が重なります
「自分のサイトは小さいから狙われない」は通用しません。攻撃の多くはbotによる自動スキャンで、脆弱なサイトを規模に関係なく探してきます。

結論:サーバー・セキュリティ込みのネットショッピングサービスを使うべき
リスクを踏まえると、サーバー管理とセキュリティ対策をサービス側が請け負ってくれるASP型のネットショッピングサービス一択だと考えています。
これらなら、万一ハッキング被害が発生しても、こちら側に過失(簡単なパスワードの使用など)がなければ被害を最小限に抑えられます。セキュリティパッチ適用やサーバー保守はサービス側の仕事であり、私たちは「売ること」に集中できます。
まとめ
WooCommerceやWelcartは「無料で始められる」点だけを見れば魅力的です。しかし、プラグイン・WordPress本体・サーバー・PHPという4層すべてのセキュリティと保守を自分で抱え込む構造は、個人情報を預かるショッピングサイトには向きません。実際に私も本体の脆弱性で管理者アカウントを作成される被害に遭い、リスクの重さを実感しました。
月額数千円〜のASPカートサービスは、セキュリティとサーバー管理への「保険料」だと考えてください。数百万円規模の事故リスクと比べれば、十分に安い投資です。ネットショップを始めるなら、カラーミーショップ・MakeShop・Shopifyあたりから検討することを強くおすすめします。

